相原「梢ちゃんって、橋本渉が好きなんでしょ？」
梢 「相原さん、なぜそれを」
相原「だっていつも、あいつの出てるリポピタンBのCMを食い入るように見てるじゃない」
梢 「えっ、そんな食い入るように見てますか、私？」
相原「見てる見てる！もう目が、あいつしか見えてないって感じでさ」
梢 「……」
相原「それにしても橋本渉のどこがいいのよー。あんな筋肉バカみたいなさ」
梢 「そのバカっぽいところがいいんですよね」
相原「えーそうなの？それって母性本能がくすぐられるってやつ？」
梢 「さあ……それはよくわからないですけど、なんか性格良さそうじゃないですか」
相原「まあねぇ、下手に頭良かったりすると、ちょっと人間的に問題も出てきたりするからなぁ。誰かさんみたいに」
梢 「あの人も、昔は神童で通ってたみたいだけど」
相原「高校に入ったら優等生からドロップアウトでしょ、よくある話だよ。まあ結局凡人だったっていうことでさ」
継生「なんの話だ？」
相原「わっ、噂をすれば影！」
継生「どうせまた俺の悪口言ってたんだろ。いつもいつもお前らはよぉ……」
梢 「三十路手前の大人が拗ねる姿はみっともないわよ、継生ちゃん」
継生「拗ねてなんかねーよ」
相原「ねー先生。梢ちゃんって橋本渉のファンなんですって！」
継生「知ってるわい、それくらい」
相原「あの男のバカっぽいところが好きらしいですよ」
梢 「やめてくださいよ、相原さん～」
継生「やだねー全く、バカで女を釣るタイプ。俺、そういうヤツ嫌い」
梢 「継生ちゃんから嫌われても、橋本渉は痛くも痒くもないと思うわ」
相原「妬いてるんじゃない？ていうか面白くないんじゃない、梢ちゃんがぞっこんなのが」
継生「ば、バカ言ってるんじゃないよ、お前はぁ！」
相原「動揺してるし」
継生「俺は至って冷静だ。あの男の話はもうやめよう」
梢 「後から話に入ってきたくせに、勝手な人だ」
継生「もっと建設的な話をしろっつってんだよ！例えば、そうだな将来設計についてとか」
相原「さあ将来設計について話そう！なんて会話します？普通」
継生「大体、おめーはよー将来のこと考えてんのか？自分の作品はちゃんと描いてるんだろうなあ？」
相原「描いてませんけど、何か？」
継生「何か？って……デビューする気はないのか、お前は！いつまでもアシスタントなんてやってられないだろう」
梢 「何だか急に説教ムードになってきたぞ」
継生「気が付いたら爺さんになってて、俺に面倒見てもらおうとかやめてくれよ」
相原「それは大丈夫ですよ。僕の家、土地持ちだし金持ちだから～。生きてくくらい何とでもなるしー」
継生「そう言や、こいつは典型的な田舎のドラ息子だった」
梢 「うらやましいな」
相原「梢ちゃんだって、継生大先生のお金があるじゃない。売れっ子だから、結構貯めこんでると思うよー」
継生「いやらしい言い方するんじゃねえ」
梢 「でも、継生ちゃんがお金持ってても、私には関係ないと思いますけど。親戚って言っても、ほとんど血の繋がりもないような遠～い親戚だし」
相原「先生と結婚すればいいじゃない！」
梢 「それはない」
継生「結論出すの早すぎだろ」
相原「えっ、じゃあ先生は梢ちゃんと結婚してもいいと思ってるんですか」
継生「え！？いや、それは……別に……まあその……つか、ちょっと待て！！俺がこんなガキと結婚したいとか思うわけないだろ！！」
梢 「ガキってなによ！？」
継生「高校生なんて、ガキだろーが」
相原「梢ちゃん、先生は君の若さに嫉妬してるんだよ」
継生「してねぇーよ！！」
梢 「なんだ、そうだったのか」
継生「だから違うって！！」
相原「先生、高校生って言っても、女の子は十六歳になれば結婚できるんですよ」
梢 「私もしようと思えば、もうできるんだよねー」
継生「駄目だ！十代で結婚なんて、俺が許さん！！」
梢 「別に今すぐしようなんて言ってないでしょーが」
相原「分かんないすよー。ある日突然ナイスガイが現れて、あっという間に梢ちゃんをさらってっちゃうかも。菊名さんの好きそうな展開じゃない」
継生「漫画と現実は違うんだよ」
菊名「誰か俺を呼んだかな？」
継生「なんで来るんだよ！！」
淵野辺「あの、僕も来ちゃいました……。一人だけ鍵カッコの位置がずれてますが～」
梢 「急に賑やかになってきたね」
菊名「俺の考える理想の少女漫画的展開とは、眼鏡のドジっ子と運動神経ぐんばつの美少年がふとしたきっかけで、お互いの素顔を知ることになり」
継生「お前の萌えは、聞き飽きた」
梢 「もういいゼ！……って感じ？」
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